名前をつけてやる

こんな狭い世界の中で 名前がない
なんて、そんなおかしなことあると思うかい？

確かに君には名前がない
でも僕は「君」って呼ぶよ
だからちっとも怖くなんかないさ
君はもう
逃げも隠れもできない
すべては、僕が知ってしまったから

僕がいちばん怖いのはね
透明で、ふわふわで、キラキラしてて
感じることはできるけれど
決して触れることのできないアレ

それは
僕の心の中にいて
たぶん あの娘に似てるんだ

怖くて怖くて
僕が僕じゃいられなくなりそうで
今にもとって食われそうなくらい
だから僕は
名前をつけるしかなくなった

それに名前がついてたことは
ずっと前から知ってたさ
でも
ほんとにそうなのか
ちょっと戸惑っていたのかもしれない

でも大丈夫、少し安心したよ

たぶん僕は、あの娘が好きなんだろう
そしてこの気持ちはきっと
「恋」っていうんだろう

おいで、君にも名前をつけてあげる